海街diary 監督・脚本・編集 是枝裕和 撮影監督 瀧本幹也 照明 藤井稔恭 原作 吉田秋生「海街diary」(小学館「月刊フラワーズ」連載) 出演 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず ©2015 吉田秋生・小学館 / フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ 鎌倉に暮らす三姉妹、幸、佳乃、千佳のもとに、十五年前に家を出て行った父の訃報が届く。葬儀に参列した三姉妹は、そこで中学生の異母妹すずと出会う。三姉妹の父を奪ったすずの母は既に他界し、頼りない義理の母を支えて気丈に振る舞うすずだったが、姉たちから「お父さんの世話をしてくれてありがとう」と言われて、初めて涙を見せる。別れ際、幸は「鎌倉で一緒に暮らさない?」と声を掛けるのだった。色とりどりの鎌倉の四季のなかで、傷つけあうことで、絆を結んでいく四人が、本当の家族になるまでの物語。 「そして父になる」のときはネガからポジに起こし、そのフィルムをスキャンして色をつくったため、コントラストの付いた深みのあるトーンになった。一方、「海街diary」では主人公となる四姉妹の瑞々しさを際立たせたかったので、シーンごとにネガから行ったり、場所やセリフによってはポジを使ったりして、撮り方を変えることにした。前半はポジを多めに、深みのあるトーンで四姉妹の緊張感やぎこちなさを伝え、要所にネガのあっさりしたトーンを加えることで、打ち解けていく明るい雰囲気が出せるように調整している。全体として「そして父になる」は濃厚な陰を捉え、「海街diary」では薄く淡い光を捉えた。主な舞台となるのは四姉妹が暮らす鎌倉の日本家屋。庇があって直射が入りにくく、庭に反射した光が障子越しにディフューズされる、そんな日本家屋特有の柔らかい光を撮るために、照明の藤井稔恭さんの提案もあって、安定した光をつくり込むことにした。あくまで不自然に見えない程度に調整している。 四季を通じて撮影をおこなうため、それぞれの季節、あるいは季節ごとの花を一番美しい状態で撮りたいと思った。しかし季節や花はただそのまま撮影してもそれらしく撮れない。例えば紫陽花。霧雨の中の紫陽花には風情があるが、霧雨を降らすことは現場の技術的に難しい。そのためバックにスモークを焚き、薄い靄がかったフィルターを使いながら、弱く、人工的に雨を降らして、淡いトーンで撮影した。晴れた日に影を落とす桜、陽が傾き少し赤みがかっていく頃の紅葉、そういったイメージをつくり込んで撮影した。四女のすず(広瀬すず)が船上から花火を観るシーンでは、海に反射した花火が俯瞰から見た船を包み込むようにしたかったので、花火の打ち上がる高さと反射角、船の位置などを緻密に計算している。ー 瀧本幹也 第 68 回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品 第 63 回 サン・セバスチャン国際映画祭 観客賞受賞 第 39 回 日本アカデミー賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、優秀脚本賞、 優秀主演女優賞、優秀助演女優賞、新人俳優賞、優秀音楽賞、優秀美術賞、優秀録音賞、優秀編集賞 ほか。 http://umimachi.gaga.ne.jp/
Our Little Sister / UMIMACHI DIARY Director, Scenario, Direction Hirokazu Kore-eda Director of Photography Mikiya Takimoto Lighting Norikiyo Fujii Original Based on the original graphic novel "Umimachi Diary" by Akimi Yoshida published by Shogakukan Inc. Cast Haruka Ayase, Masami Nagasawa, Kaho, Suzu Hirose ©2015 Akimi Yoshida, SHOGAKUKAN / FUJI TELEVISION NETWORK INC. / SHOGAKUKAN INC. / TOHO CO., LTD. / GAGA CORPORATION Sachi, Yoshino, and Chika, three sisters living in Kamakura, receive word of the death of their father, who left them 15 years ago. At the funeral they meet Suzu, their middle-school-aged younger sister from a different mother. As it happens, the mother of this girl who seemingly stole the sisters' father had also already passed away. Suzu, who supports her unreliable stepmother, behaves bravely, but she finally breaks down into tears for the first time when the sisters thank her for taking care of their father. As they say their farewells, Sachi asks Suzu if she will come live with them in Kamakura. This is the story of these four sisters' journey towards becoming a true family as they bond and hurt each other in turn among the colorful seasons of Kamakura. In Competition at the 68th Cannes Film Festival 63th San Sebastián International Film Festival, Audience Award 39th JAPAN ACADEMY PRIZE, Grand Prize http://www.imdb.com/title/tt3756788/