そして父になる 監督・脚本・編集 是枝裕和 撮影監督 瀧本幹也 照明 藤井稔恭 出演 福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー ©2013 フジテレビジョン / アミューズ / ギャガ 6歳になる息子は、病院で取り違えられた他人の子だった。人生に勝ち続けてきたエリートの男に、突然降りかかった「事件」。実の子か育ての子か、迫られる非情な「選択」。他人の手によって壊され、傷ついた家族が、それでも愛と絆の新しい形を探し求める姿を描いた衝撃の感動作。 もともと是枝裕和監督の作品は憧れをもって見ていたので、その組に参加することで自分の新しい扉が開くような予感がしていた。コマーシャルでは短い尺の中でカット割りがおこなわれるので、アングルや照明を事前に検証し、そのフレームの中で芝居をしてもらうことが必然的に多くなる。片や映画では、当然のことながら芝居が最優先になるため、まず芝居の段取りを見てから準備に取りかかった。自身初の映画撮影だったので、初めはペースをつかむのに苦労した。全体的にカメラはじんわりと動いている。それは心の揺らぎや時間の流れを写したかったから。観る人にはストーリーに入り込んでもらいたかったので、画づくりがあざとくならないように気をつけて撮ったつもりだ。是枝さんは現場で細かくオーダーしてくる監督ではない。ときおりシーンの核心に触れるような言葉があって、それにどう反応していくかのくり返し。考えたのはなるべく客観的な目で捉えること、そしてシーンごとの感情を光で演出することだ。一見楽しそうな家族の場面も、敢えて暗く撮ることで不安があぶり出される。一方、ラストの並木道のシーンは木漏れ日が絶対に必要だと思い、時間的な制約がある中、光をずいぶん待つことになった。電車の中で慶多(二宮慶多)がみどり(尾野真千子)と話をしていると、橋の下を電車が通過して、話を終えたところで車内が真っ暗になる。会話の内容と呼応した悲しいシーンを撮ることができたが、実はたまたまタイミングがズレたために過ぎない。そのような奇跡的なシーンを「そして父になる」ではいくつか偶然に撮影することができた。是枝さんも僕も予定調和を望まないたちなので、そういった部分がうまく噛み合ったのだろうか。ー 瀧本幹也 第 66 回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 審査員賞受賞 第 61 回 サン・セバスチャン国際映画祭 観客賞受賞 第 56 回 アジア太平洋映画祭 作品賞・監督賞受賞 第 32 回 バンクーバー国際映画祭 観客賞受賞 第 37 回 日本アカデミー賞 優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀主演男優賞、優秀主演女優賞、 最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、優秀音楽賞、優秀撮影賞、優秀照明賞、優秀録音賞、優秀編集賞 ほか。
Like Father, Like Son / SOSHITE CHICHININARU Director, Scenario, Direction Hirokazu Kore-eda Director of Photography Mikiya Takimoto Lighting Norikiyo Fujii Cast Masaharu Fukuyama, Machiko Ono, Yoko Maki, Lily Franky © 2013 FUJI TELEVISION NETWORK / AMUSE INC. / GAGA CORPORATION A six-year-old boy turns out to be the someone else's child taken from the hospital by mistake. An incident that suddenly comes crashing down upon the shoulders of a successful man who has won at every turn in life. The unavoidably cruel choice of whether he is a true son or adopted son. This is the powerfully moving story of a wounded family that has been broken by outside forces as they search for a new form of love and bonding. In Competition at the 66th Cannes Film Festival, Jury Prize winner 61th San Sebastián International Film Festival, Audience Award 56th Asia-Pacific Film Festival, Best Film and Best Director 32th Vancouver International Film Festival, Rogers People's Choice Award 37th JAPAN ACADEMY PRIZE, Grand Prize http://www.imdb.com/title/tt2331143/?ref_=tt_rec_tt